胆のう・胆管の病気(胆石・胆のう炎・ポリープなど)
胆管(肝外胆管)は肝臓から十二指腸をつなぐ胆汁が通る管のことです。長さは約10~15cm、で太さは0.5~1cmの管です。
胆のうは、胆汁を一時的に貯めて濃縮する袋状の臓器で、西洋梨状の形をしています。食事をする際に貯めていた胆汁を胆管を通じて十二指腸に出す役割があります。
胆汁は肝臓で生成される黄褐色でアルカリ性の液体で、食べ物とまじりあって、脂肪の吸収を助ける働きがあります。
胆石症
胆石症とは
胆石症は胆汁の成分が固まって石になり、胆管や胆のうに石が溜まる状態のことを言います。
主に胆汁成分のコレステロールが過剰になることで石を形成します。
女性、肥満、40代〜50代に起こりやすいといわれています。
胆石症の症状
胆石症はほとんどの方が無症状です。
しかし胆石が詰まったり、詰まった影響で炎症を起こしたりすると症状が現れます。
胆石が胆のうの出口を塞いでしまうと胆汁がうっ滞してしまい炎症を起こし、胆のう炎による症状(発熱、みぞおち・右肋骨下の痛み)を引き起こします。
また石が胆道から胆汁を排出する出口をふさいでしまうと黄疸(皮膚が黄色くなる)を起こします。
胆石症の治療
胆石症の治療は溶解療法、ESWL、内視鏡による手術の3つで行います。
溶解療法は服薬することによって石を溶かしますが、胆石が溶ける確率は低く効果はそこまで期待できません。
ESWLという体の外から衝撃波を石に当て、石を粉砕し、除去する方法です。手術の必要がないので簡易的に行えますが、再発率は高いです。
内視鏡によって胆管の出口のファーター乳頭といわれる部分を切除して石を取り除いたり、バルーンを胆管に入れて石を掻き出す方法も行われます。
胆のう炎
胆のう炎とは
胆のう炎は胆石などが原因で胆のうに炎症が起きた状態のことです。
胆のう炎は大きく分けて急性胆嚢炎と慢性胆嚢炎の2つに分かれます。
急性胆のう炎を発症すると初期段階では上腹部の違和感や鈍痛を感じる程度ですが、進行してくると発熱や肋骨下部の痛みを伴い始めます。
胆嚢の炎症が長く続くと、胆嚢の壊死や血液に菌が入り込んでしまう敗血症という状態になります。
慢性胆のう炎は胆嚢の炎症が長期間にわたり続いている状態です。
炎症が続くと胆嚢壁が肥厚したり、胆のうが萎縮し機能が低下します。
急性胆のう炎と比較すると症状は軽いですが、稀に癌化することがあるので治療が必要です。
胆のう炎の原因は?
胆のう炎の90%は胆石が原因です。
胆石が胆のう管に詰まることによって、胆汁がうっ滞し細菌感染がおこることで胆のう炎を発症します。
加齢や高脂質の食事、不規則な食生活、ストレスなどの生活習慣病が原因となり、胆嚢の収縮機能が低下することによって胆嚢炎が起こることもあります。
胆のう炎の治療
急性胆のう炎は初期段階では絶食、補液(水と電解質)の点滴、抗菌薬、鎮痛剤での治療を行っていきます。
胆のうに胆汁が過剰にたまっている場合は胆道ドレナージといって胆のうを体外に排出します。
慢性胆のう炎は基本経過観察ですが、痛みが強い場合や胆のう癌が疑われる場合は胆のうを取り除く手術を行います。