機能性ディスペプシア
機能性ディスペプシアとは
機能性ディスペプシア(Functional Dyspepsia:FD)は、胃カメラや血液検査などを行っても明らかな異常が見つからないにもかかわらず、慢性的に胃の不快感や痛み、食後の膨満感などが繰り返し起こる病気です。
原因は一つに特定されていませんが、胃の運動や感覚の異常、自律神経の乱れ、ストレスなどが関与していると考えられています。
胃の不調があるにもかかわらず、検査で異常が見つからず悩む患者さんも多く、日本では消化器内科を受診する人の中でも比較的多く見られる疾患です。
主な症状
以下のような症状が、週に数回、3か月以上持続している場合に疑われます。
- 食後の膨満感(お腹が張って苦しい)
- 早期満腹感(少ししか食べていないのに満腹になる)
- みぞおちの痛み(胃のあたりがチクチク・ズキズキ痛む)
- みぞおちの焼ける感じ(灼熱感)
これらの症状は、食事やストレスによって悪化することが多く、排便によっては改善しません(※過敏性腸症候群との違い)。
主な原因と悪化要因
- 胃の運動機能の低下:食べ物がうまく胃から出ていかず、膨満感や吐き気の原因に。
- 胃の知覚過敏:通常では感じない程度の刺激でも、痛みや不快感を感じてしまう。
- 自律神経の乱れ:ストレスや不安によって胃の働きが影響を受けやすくなる。
- ピロリ菌感染:一部の患者では、除菌治療により改善することがあります。
- 食生活の乱れ:脂っこいものや刺激物、早食い・過食など。
- 併発疾患:過敏性腸症候群、うつ、不安障害などと併存している場合もあります。
検査と診断
機能性ディスペプシアは「除外診断」が重要です。まず、以下のような疾患がないことを確認します。
- 胃潰瘍・十二指腸潰瘍
- 胃がん
- 胃食道逆流症(GERD)
- ピロリ菌感染
主な検査
- 上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)
- 血液検査、ピロリ菌検査
- 腹部エコー、CT(必要に応じて)
治療・対処法
症状のタイプや程度に応じて治療方針が変わります。
薬物療法
- 胃酸分泌抑制薬(PPIやH2ブロッカー):胃酸による不快感の軽減
- 消化管運動改善薬(モサプリドなど):胃の動きを活発にする
- 漢方薬(六君子湯など):胃の不調に幅広く効果
- 抗不安薬・抗うつ薬(必要に応じて少量使用)
生活習慣の改善
- 食事はゆっくりよく噛む
- 脂っこいもの・刺激物を避ける
- 食後すぐに横にならない
- 十分な睡眠と規則正しい生活
- ストレスをためない工夫(軽い運動、趣味の時間など)
こんな時は受診を
- 症状が長く続いて生活に支障をきたしている
- 急な体重減少がある
- 黒色便や吐血などの消化管出血の兆候がある
- 食欲不振が強く、栄養状態が悪化している
- 市販薬で効果が見られない
